乗りテツは北にいる(Epithode 5 : 最北端の呆然(後編))

割と急な坂を上って「宗谷岬公園」にたどりついた(いや5分もかかってないが)
なかなかな光景。
というか、あまり現実感のない、言い換えれば日常ばなれした光景だった。
岬の高台にある公園なので当然のことながら灯台と砲台はある。180度以上の角度で海は広がっている。遠くにサハリンが見える。日が上ってきて徐々に明るくなって来た。
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でも岬の公園なのに見所は内陸側にある(と勝手に断定する)。
見渡す限りの丘陵の真ん中やや遠くに風車のある大きな建物がひとつ。
あとは低木や緑が延々と続く世界。
あまりにメルヘンすぎる。あの建物はなんだ。何かに使っているのか。1度来たとはいえ、ほとんど予備知識なしに来た俺にこの光景は大きすぎた。
ふと、さっきのバスの中での記憶が蘇る。
「宗谷丘陵」
これのことか。やや整理のつかない混乱した意識を抱えつつ、無性に奥へ向かう気が走る。もしかしたらそこそこ奥まで行けるかもしれない。宗谷丘陵の走破?できるといいねぇ。
帰りのバスの1便目まですでに30分を切っていたがどうでもよかった。なんなら丘陵を突っ切るつもりまであった。とにかくあの建物まで歩こう。
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とは決意して歩いたものの。
たどり着かない。
いやそりゃまぁ写真撮りながら歩いてるってのもあるんだが、見た目そうでもないのに結構な坂道だし、なにより現実的に「遠い」のよ。
そこにあるような気がした風車の建物まで7、8分ぐらいかかったか。
結局それは観光用の店舗だったのだが、もちろんそんな時間に営業しているわけもなく。
そしてまだモチベーションの途切れてなかった私はまだ奥へ行こうとした。
スマホの地図を見たら、もうしばらくしたら丁字路に出るらしい。
振り返りつつ歩きつつ、丁字路まで来るとなんと看板が「あと9.9km」。
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やはり無理だ。北海道はでっかいどう。スイーツは甘いが大地は甘くない。
バスの時間が迫っているので小走りに戻ってみるが5分ぐらいしてとてもこれでは間に合わないことに気がつく。なんだ、だったらもう一度戻って、なんだか農場のあったあのあたりまでは行ってやる。
そしてまた戻る。
鉄塔があって(おそらく携帯のアンテナ塔だ)、その辺りに牧草地が広がっている。
遠くまで見渡せるし、手前に遮るものがないのでここで少し写真を撮ろう。
いや、なんか撮らないといけない気がした。手ぶらでは帰れない。
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なんども構図を変え、露出も変え、写真と動画を撮るんだが思い通りにならない。焦燥感。
そして諦念、無力さが体の、あるいは心の底からジワジワ滲んで来る。やるせない。
こんなに美しい自然を(といいつつ、途方もない苦労で人の手が入った牧草地だということを後から思い返すのだが)前にしてやるせない気持ちになるのもなぁ。しかし敵わない。無理だ。
[wpvideo IdPe7H45]
トボトボと戻る。今度は半日かけて丘陵を歩こう・・・。
バス停まで戻って、土産物屋が開いてたので入ってみる。
こんなところにも札幌の土産があるのには商魂のたくましさを感じるが、これが目についた。
おもわず買って、バスで稚内駅へ戻る。

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