ケータイの形態の動態

(あえてこういう言い方をするが)携帯電話端末や情報端末には昔から興味があるが、かといってそこに青天井に金をかけるかというとそれほどでもないし、何より世間とは微妙に要求がずれているのでなかなか合うものがない。

で、可能なものは安く入手したいので(特にMNPが始まってからは)一年から二年ごとにキャリアを変えてきた自分にとっては、各社それなりに利用経験はあるしポジネガそれぞれの印象はあるのだが、結局のところ一番長く使っているのはauかもしれない。
ちょっとデザイン的なものが気になるauユーザーにとっては今回の展示で出てきたような au design project から生み出された諸々は多少なりとも気になるもののはずで、実際に入手したこともあるからこれは行きたかった。ただ、展示期間が短かったので、割とエイヤな感じで今回は行ってきた。
場所は有楽町。隣のビルと間違って少々迷ったが分かりにくいわけではない。

特に何がどう展示されているか、どんな意図があるかなどはまったく下調べしてなかったので行って初めて「あぁ、そういう意図ね」とか思う始末だったが、順路は中に入ったところで係の方から(キュレーターや学芸員やなさそうだったので)案内されて、上の写真にあるような目録を兼ねたパンフ(と言ってもA3を2in1で両面印刷、的なもの。折り目がずいぶんずれていて、これはKDDI社内で印刷したのではないかと推測しているw)をいただいたのでおとなしく順路で見る。
初期のコンセプトモデルはやっぱりケータイがケータイ然としてたなかで、ZAURUS(懐かしい)なんかの情報端末を統合する遠い未来をどう統合するか、という感じと、ケータイのデザイン的な定義を考え直すものとあって、揺籃期のトンデモなさとかが相当程度混ざってるあたりが面白さというかワクワク感を倍増させる。

そしてinfobar。やっぱこれはすごいよなぁ、と。でもinfobarの出る前にすでにtalbyのコンセプトは出現していて、この並びで見たときの「マークニューソンすげぇ」感が半端ないのもまた楽しい。コンセプトと製品がほとんど区別つかないのも含めて。そしてこのころは開発陣も「無邪気にappleと作るとどうなるだろうか、作りたい」みたいな話をしていたようで、それはそれで見てみたかった気はする。
それと前後して、個人的には意図が少しわかりにくかった、既存端末のスキンを変えたCDMA WIN初期の端末とか、デザイン的に欲しかったが機能面で何か足りなくて断念したMEDIA SKIN、カドが取れて丸くなったinfobar2とか懐かしいねぇ、のオンパレード。でもそこそこまだ今でも解釈し直せば売れるんじゃないかな、みたいな感じがする端末も多いのがさすがにデザインの力というか。

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個人的にはあまり好きではなかったがスライド式のiidaとか

ただ、スライド全盛期(ケータイ終盤)に入ってくるといろいろ制約も出てきた感があって、もちろんデザインや質感が高いのだけれど、他の端末と比べて「明らかに尖っている」「明らかに異質」って感じが減ってきたのはやはり時代だろうか、と感じを持たせるものが並んだ後で出てくるのがスマホ(Android)でのコンセプトモデル。

左側のSUPER INFOBAR conceptはスライド式で物理キーボードが出るタイプだが細長過ぎてAndroidの規格に乗らず断念された模様。右のtalby2 conceptは東日本大震災の影響で製品化が叶わなかったモデル。talby2は出ていて欲しかった。今でも出せるのでは・・。いや、出して欲しい
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最近のモデル、あるいはコラボ作品。

ま、そのあとは言わずと知れたスマホ版INFOBARの、A01やC01、A02-03につながるのだが、やっぱりスクリーンの制約があるからか少しおとなしい。その辺りを知ってか知らずか、2015年以降のコンセプトモデルは前提からひっくり返した斬新なものが多いので期待。
あ、そうそう、au design project といえば、忘れてはならないコレね。
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言わずと知れた草間彌生コラボ

個人的はこの水玉がキツい(好き嫌いとかいい悪いの問題ではなく、みてるとたまに気分が悪くなってしまう)ので評価が難しいんだが、世界観は今回の展示の中でも際立っておりました。ファン垂涎、だろうか。
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会場を引いて見るとこんな感じ

最後に、QRコードからアクセスしてアンケートに答えるとコンセプトモデルのカタログをもらえる、ってあたりがケータイ屋さんの仕掛けっぽいが、まぁそれもよし。
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コンセプトモデルのカタログ

で、特に中盤以降を見てて思ったんだが、デザインとして全体を考えた場合にはハードだけでなくて、スクリーンに映る情報の見せ方や遷移のしかた、つまりソフト的な情報の扱い方(ウーザーインターフェースとかユーザーエクスペリエンスとか言われる部分ですかね)が同じぐらい重要になるけれども、そこをAndroidに押さえられてるのは痛いんじゃないかなぁ、と。
一般的にはAndroidもそれなりに考えられてると思うんだが、いかんせん一般的最大公約数なので、デザインを考えた時に頭を抱えたりする部分も多かろうと。その辺がもしかするとこのプロジェクトがなんというか「届ききれない」「超えられない」部分かもしれない。
ま、その辺をキッチリ押さえてるしそれが可能なのがAppleなんだが、それができないことを前提でどう戦うか。難しいけれどApple的なものが全てではないので頑張って欲しいなぁ、と思いながら会場を後にした。
 
いつのまにか外は大粒の雨が降りだしていた。世界は難しい。
 

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